How to

How to ワークショップ

How to

今回はワークショップの運営について書いていきます。
中でもワークショップを取り仕切る「ファシリテーター」として運営を行う時、
どんな準備が必要なのか、進行中はどう振る舞えばいいのか、
実施時における心構えなどを記しておこうと思います。

ワークショップの目的

まず、ワークショップを行う目的についてです。
「ひとりでは思いつかない考え・アイデアを得る」ということもありますが、
どちらかと言えばワークショップの過程を通じて
「参加者にその議題を認識させ、自分ごと化させる」
「参加者の合意形成を行う」
ことを狙って実施されることも多くあります。
これは、決定事項を関係者に通達するだけだと、
「上や他部署が勝手に決めたことでしょ」となりがちですが、
ワークショップに参加し、主体的に同じ題に向き合うことで、
決定したことの実現まで責任を持ってもらうことを狙います。
つまり、考えを得るというよりはその先の実施をスムーズに行うための合意形成、
の方が感覚としては近いのかも知れません。
このように目的によってアウトプットも大きく変わってくるので、
明確にしておきたいところです。

実施前の準備

さて、ここから実際にワークショップを行う際の流れを整理していきたいと思います。
ワークショップは短ければ1〜2時間、長ければ1日〜2日かけて行いますが、
その時間中だけ、最大のパフォーマンスを発揮すればよいというものではありません。
どちらかと言えば、事前準備がうまくいくかどうかの80%を占め、
本番は準備したことを淡々と進めていくだけ、という感覚で臨むのがよいと思います。

では、具体的に何を事前準備するかというと、下記3つとなります。

  • ワークショップの実施を望む主催者の狙い/想いを確認する
  • 狙い/想いを受け、ワークショップを実施してどのような結論に至るのが望ましいかシミュレーションする
  • 結論に至るまでのステップを設定し、それぞれ何を議論すべきかを設計していく

それぞれ内容を説明します。

・ワークショップの実施を望む主催者の狙い/想いを確認する
なぜそのワークショップを実施しようと思ったのか、主催者の考えをヒアリングします。
冒頭に記したように、単に「今までにないアイデアがほしい」だけなのか、
もしくは「参加者に自社の課題を認識してもらいたい」のか。
また、主催者としてワークショップが成功したと言えるのは、どんな変化が起こった時か、
ファシリテーターという立場を利用して、細かく、深いところまで聞いていきます。

・狙い/想いを受け、ワークショップを実施してどのような結論に至るのが望ましいかシミュレーションする
このワークショップが終わった時、参加者はどんな答えに辿り着きそうか?を想定します。
本番にその通りにならなくても構わないので、その時点での結論を参加者になったつもりで考えます。
そうして結論を想定してみた時に、
そもそもワークショップで解決できる範囲を超えた狙いだったり、
課題に対してワークショップの時間が足りなかったりという事を感じた際は、
主催者に相談し、「狙い」のハードルを下げる必要があります。

・結論に至るまでのステップを設定し、それぞれ何を議論すべきか設計していく
想定した結論から逆算し、
→時間内に何回議論できるか
→何をどの順番で議論すべきか
→各議論のテーマをどう設定するか
を設計していきます。
この時に注意したいのは、自分が何も知らない参加者になってみて、理解できるかどうかを
細かく何回も検証する必要があることです。
つい、設計している側は参加者がこれくらいならわかるだろう、と考えて作ってしまいますが、
簡単な手順でさえ、考えていた通りにならないことが多いです。
なので、議論中参加者にお願いしたいことは、
なるべく「文章でわかりやすく記す」か「図や絵で示して」スライドを投影することをおすすめします。

また、議論してもらう内容を考える時のヒントですが、
身近な具体例を挙げてもらう
→その例から何が学べるか抽象化してもらう
→今、議論したい内容に当てはめるとどうなるか再び具体化してもらう
というプロセスを踏んでもらうように設計すると、参加者も考えやすいかも知れません。

進行中の振る舞い方

準備を整えたら、あとは本番はシミュレーションした通りに淡々と進めていく、というのが理想です。
ただ、どうしても事前の想定通りにいかないのがワークショップ。
起こりがちな困りごととそれへの対応策をざっと挙げます。

議論が全くなされないチームがある
→ファシリテーターがちょっとだけ介入しましょう。あまり特定のテーブルに首を突っ込むと「贔屓している」ように見られますので、そのバランスが難しいですが、どこから議論していいかわからないようなチームには、「例えば○○○に関してどう思います?」など答えやすい質問を投げかけて、誘発してみましょう

全体への意見を求めても、誰も発言しない
→誰も発言しない沈黙の時間は耐え難いところがありますが、ぐっとこらえましょう。ここで、「例えば○○の方、どう思います?」とファシリテーターが当ててしまうと、その場の発言は引き出せますが、以後「意見はファシリテーターが指名した人がするもの」という暗黙のルールができてしまい、もっと自然な発言を引き出せなくなります。ここはぐっとこらえて、誰かが発言するのを待つか、何も出なければ次の議論へ進む、という判断をしましょう

議論したが、意見がまとめられない
準備の項目にも書きましたが、具体例⇄抽象化のプロセスを繰り返して意見をまとめるのが理想です。この作業に苦労しているチームがあれば、ファシリテーターが介入し、具体化or抽象化をサポートしてみましょう。また、意見をまとめる際は、多数決ではなく、全てを包含するような結論でもなく、一歩進んだ意見になるよう促してみると、良い結果が出るかもしれません。

ちなみに、目的のすり合わせ段階で主催者とコミュニケーションがうまく取れていれば、
オブザーバーとして主催者(意志決定者)に本番を見学してもらうのもいいかも知れません。
(主催者が参加者になってしまうと、その意見が優先されがちなのでなるべく避けたいところです)

実施後

ワークショップ終了後も作業は続きます。
参加者から得た結論を、どう主催者にフィードバックするか?
結論をそのままフィードバックしても、求められていたものにならない方が多いと思います。
なので、ファシリテーター側で加工する必要があります。
ただし、参加者の意図を変えてしまっては何の意味もないので、それだけは守った上で、
主催者に伝わりやすい形へまとめていきます。
実施後に納品した際、「こうじゃなかったんだよな」と主催者から思われないためにも、
初めに書いた目的のすり合わせをしっかり行っておくことをオススメします。

ワークショップは、前後含めかなり労力が必要な作業ではありますが、
チームや組織の一体感を作ったり、一人では辿り着かない意見を得ることができたりと、
ファシリテーターとしてやりがいのあるものだと思います。
ぜひ機会があれば、チャレンジしてみてください。


以上。

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